アジャイルテストでの計画・管理のツール:Test MatrixとTest Mindmap

ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2020」の記事です。

Agile Testing CondensedMore Agile Testingでは、リリーステスト(システム全体を対象とするテストレベル)の計画のやり方として、「リリース全体を俯瞰する視点で作成する。計画の作成・運用ではテストマインドマップ(Test Mindmap)やテストマトリクス(Test Matrix)を活用できる」のような解説がされています。そして下図でその流れを紹介しています。

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執筆時点で日本語の解説がなく気になったので、今回はここで言及されている、計画と管理のツールであるテストマインドマップとテストマトリクスの内容についてメモしたいと思います。

共通する特徴

テストマインドマップ、テストマトリクスいずれも、マネジメントとチームのコラボレーションを支えるためのモデルとして活用します。具体的には、話し合いながら、チームでアイデアを出し、チームでアクティビティを共有し、チームで進行状態を共有するための手段として、テストマインドマップ、テストマトリクスを活用しています。

テストマインドマップ

モデルの形式

テストマインドマップは、テスト実行のアクティビティをマインドマップのノードで表現したモデルです。

次のようなモデルになります。

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モデルの目的

次の目的で作成します。

  • チーム全体のテストのアクティビティ抽出の助けにする。例えばマインドマップでアイデアを発散させながら、チームメンバーでアクティビティを抽出する作業に用いる。
  • チームのテストのアクティビティの全体像を高位レベルで可視化する。
  • チームのテストのアクティビティの進捗情報を高位レベルで可視化する。具体的にはマインドマップのノードにアクティビティ完了のマーカーを付与して、完了したアクティビティを可視化する。

テストマトリクス

モデルの形式

テストマトリクスは、縦軸にテスト対象項目(アジャイル開発ならフィーチャ等。フィーチャを縦軸にしたものはフィーチャテストマトリクスと呼称)、横軸に抽象的なテスト条件あるいはテストケイパビリティ(テストチームが実施可能なテストタイプ)を配置したマトリクスを用います。
マトリクス縦軸・横軸の形式は、ゆもつよメソッドのテスト分析マトリクスや、QUINTEEのテストマップと類似しています。ただテストマトリクスでは、マトリクス中の項目に、さらに以下の情報を表現します。

  • テスト実行の対象か、対象外かの情報
  • テスト実行の対象ならば、その優先度と進行状態の情報

テストマトリクスは例えば次のようなモデルとなります。今回はセルの背景色で上記の情報を表現しています(More Agile Testingでは背景色と背景パターンの2つを使って表現を使い分けています)。

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モデルの目的

マトリクスの横軸・縦軸はテスト分析マトリクスやテストマップと類似していますが、目的・用途は異なります。
このテストマトリクスは次の目的で作成します。

  • チームのテストのアクティビティの全体像を高位レベルで可視化する。
  • チームのテストのアクティビティの優先度と進行状態を可視化する。具体的には、次に優先すべきテストの明示化、未着手or残作業ありor完了の進行状態の明示化を行う。