責務構造ツリー
責務構造ツリーは、活動の責務を分割するためのモデリングツールです。
QAアーキテクティングやテストアーキテクティングで、各QA活動、テスト活動の責務を分析し、詳細化するために使用します。
責務構造ツリーの概要
責務構造ツリーは、責務分割構造をツリーでモデリングするものです。記法にはGSN(Goul Structuring Notation。https://scsc.uk/gsn)を使用します。
GSNの記法ルールの逸脱するものではないため、これは独自のモデリング手法ではなく、GSNの活用例の一種になります。
ただし、GSNの慣習との若干の相違点として、以下の特徴を持ちます。
- Goalは責務に特化して記述します
- Solutionは基本省略します
責務構造ツリーは「GSNでテストタイプを分析する - 千里霧中」で記述している、GSNによるテストアーキテクチャの分析で使用していたツールを持ってきたものです。元々の由来として、HAYST法のD-Caseによるテスト戦略立て(http://jasst.jp/symposium/jasst18tohoku/pdf/S1.pdf)から着想を得て具体化しました。
責務構造ツリーは、由来のD-Caseでも代替可能ですし、マインドマップなど他の一般的なツリーモデルでも代替可能です。
責務構造ツリーの例
QAアーキテクティング、テストアーキテクティングでの責務構造ツリーの用途
責務構造ツリーは、抽象度が最上位の戦略立てやアーキテクティングに適用します。例えばテストアーキテクティングの場合では、テストレベルや、抽象度の高いテストタイプの分析・関心事の分離に使用します。
ツリーモデルで表現できない、各責務の連携については、別途プロセスモデルやシナリオ記述などで補完して記述します。
なお、より抽象度の低い、詳細なテストタイプ、テスト観点、テスト条件などの分析では、ツリーモデルで表現できない要素や記述量の課題から、責務構造ツリーではなく、クラス図や無効グラフ、その他表などによる記述の方が適している場合が多いです。
責務構造ツリーの記法・書き方
GSNの記法を使用します。
責務構造ツリーで多用する記法を以下にまとめます。
書き方は単純で、上位の責務→「どう責務分割したか」を記述したStrategy→下位の責務を基本構造に、ツリー構造を構築します。